先日、開業当初から来院している患者さんからクレームがありました。 院長にずっと診てもらっていたのに、急に勤務医に変わったことに不満だったようです・・・。

先に言えば説明、後で言えば言い訳。

先日、ある歯科医院で、開業当初から来院している患者さんからクレームがありました。 院長にずっと診てもらっていたのに、急に勤務医に変わったことに不満だったようです。

「新しい患者さんには、初めから勤務医が担当するので良いのですが、10年前の開業時から来院されている方は、院長に診てもらいたい、という意向がかなり強いんです。でも、勤務医にも割り振っていかないと、手一杯でまわらないし……。

その患者さんには、次回以降、再び院長が診ますから、と言って納得してもらったのですが。こういう場合、どう対応したらいいのでしょうか?」 

これと同じことは、ドクターだけでなく、ベテラン衛生士が新人衛生士にメンテナンス担当が変わる際にも起こったりします。このとき、患者さんの言い分は、「身体のことは、信頼している1人に診てもらいたい、そのほうが安心だから」というのが1つ。これはもっともで、理性的に理解できる話です。 

しかし実は、その奥にはもう1つの思いがあったりします。それは、「昔から来ているのだから、ちゃんと大切にしてほしい(特別扱いしてほしい)」というものです。これは、感情論です。 

クレームを言われた後で、院長が「ちゃんと彼(勤務医)の処置について報告を受け、私(院長)が把握しているので大丈夫ですよ」と説明しても、納得してもらえません。 なぜなら、理性的には納得できても、感情的に納得できないからです。

しかし、もし前もって勤務医と一緒に院長がチェアサイドに行き、「今回の治療は●●ドクターが担当します。状況は私がきちんと確認して進めて行きますので、ご安心くださいね」とひと言、添えていたら、どうでしょうか。全員とは言いませんが、かなりの割合で「わかりました」と納得してくれたりします。 

これは、「自分を特別扱いしてほしい」という感情と「ちゃんと診てもらえている」という安心感を先に満たしてあげたからです。 

言っている中身は同じでも、順番が違うと、相手の反応はまるっきり変わります。 

先に言えば説明、後で言えば言い訳。意識をしておきたいことです。

今回のレッスン

言っている中身は同じでも、順番が違うと、相手の反応はまるっきり変わります。